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親子で不動産を共有名義にするデメリットとトラブル回避策を解説

親子で不動産を共有名義にするデメリットとトラブル回避策を解説

マイホームの購入や建て替えにおいて、資金繰りの都合や相続対策として検討されるのが親子での共有名義です。

「親が頭金を出してくれるから」「ローンの借入額を増やせるから」といった理由で選択されることもある手段ですが、実は共有名義には多くのリスクが潜んでいます。

本記事では、親子共有名義のデメリットを徹底解説するとともに、すでに共有名義になっている場合の解消法までを網羅してお伝えします。

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「親子共有名義での不動産の所有」とは?

まずは次の2つの項目から、共有名義の基本的な仕組みと、なぜ親子で共有名義にするケースが多いのかを見ていきましょう。

  1. 共有名義と「持分」の仕組み
  2. 親子共有名義が検討される主なケース

①:共有名義と「持分」の仕組み

共有名義とは、1つの物件(土地・建物)を複数人で共同所有することです。
この際、各所有者が持つ権利の割合を「持分」と呼び、登記簿謄本に記載されます。

共有名義で重要なのは、「持分は出した資金の割合(出資比率)と一致させなければならない」という点です。
例えば、3,000万円の住宅を購入する際、親が2,000万円、子が1,000万円を出資したならば、持分は「親:2/3、子:1/3」とするのが原則となります。

後述しますが、出資比率と持分がズレると贈与税の対象となる可能性があるためです。

②:親子共有名義が検討される主なケース

親子で共有名義を選択する背景には、主に3つのパターンがあります。

  • 親子ペアローン・リレーローン
    子どもだけの収入で希望する額のローンが組めない場合、親の収入を合算して借入額を増やす手法。金融機関から連帯債務者として双方の持分設定を求められる。
  • 親からの資金援助
    親が子どもに住宅購入資金の一部を援助するケース。この資金を「贈与」ではなく「共同出資」という形にするために、出資額に応じた持分を親に持たせる。
  • 将来の同居(二世帯住宅)
    親の土地に子が家を建てる、あるいは二世帯住宅の建築費用を親子で分担する場合、それぞれの拠出額に合わせて土地・建物を共有名義にする。

いずれも親子の共有名義になることに違いはないため、次章でご紹介するデメリットはどのケースにおいても注意しなければなりません。

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親子共有名義で不動産を所有するデメリット7選

共有名義は購入時のハードルを下げる特効薬のように見えますが、長期的には多くのリスクを孕んでいます。

ここでは、親子の共有名義に潜む代表的な7つのデメリットを見ていきましょう。

  1. 売却やリフォームに親子両方の同意が必要になる
  2. 二次相続で権利関係が複雑化する
  3. 持分割合を間違えると贈与税が発生する
  4. 住宅ローン控除の恩恵が薄れる場合がある
  5. 将来の住み替えのハードルが上がる
  6. 解消したくても多額の税金・費用がかかる
  7. 親子間の心理的トラブル(主導権争い)

デメリット①:売却やリフォームに親子両方の同意が必要になる

不動産の共有名義において最大の制約は、民法251条に基づき、売却や大規模なリフォーム、建て替えといった行為に「共有者全員の同意」が必要になることです。
そのため、親子の共有名義であれば、親子両方の意見が揃わなければ家の売却や建て替えはできません

また、将来的に認知症などによって親が意思表示できなくなった場合、子が「介護資金を捻出するために家を売りたい」、あるいは「老朽化した箇所を修繕したい」と考えても、法的な親の同意が得られないため家は実質的に凍結状態に陥ります。

これを解消するには、裁判所が関与する「成年後見制度」を利用しなければならず、多大な時間とコストが必要になります。

デメリット②:相続時に権利関係が複雑化する

持分は相続財産として扱われるため、親が遺した持分は家を共有していた子だけでなく、その兄弟にも相続する権利が発生します。

そのような形で相続が行われた場合、もともと親との共有名義で家を持っていた子の側は「自分の家だ」と思っていても、他の兄弟から「自分も親の持分を相続したのだからその分のお金を払え」と主張されたり、勝手に第三者へ持分を売却されたりする可能性はゼロではありません。

また、さらに世代が進んで相続が繰り返されることで、上記の兄弟だけでなくその子や孫の世代に持分が相続され、共有者が増え続けていきます。
最終的に共有者が世代をまたいで数十人単位になることも珍しくなく、そうなれば家の売却や建て替えの同意を得るのは極めて困難です。

そのため、親子の共有名義で不動産を所有する場合、「親が持つ持分は家を共有している子のみに遺す」ことがトラブル回避の鉄則といえます。

デメリット③:持分割合を間違えると贈与税が発生する

先述の通り、持分は親と子がそれぞれ実際に出した金額に比例させる必要があります。

例えば、実際には親が全額支払ったのに持分を「親1/2、子1/2」にした場合、税務署から「親から子へ持分の半分を贈与した」とみなされてしまうのです。

この「みなし贈与」が発覚すると、本来払う必要のなかった数百万円単位の贈与税が課されるリスクがあります。

デメリット④:住宅ローン控除の恩恵が薄れる場合がある

住宅ローン控除は、本人の所得税や住民税から還付を受ける制度ですが、これは「納税していること」が前提となります。

親子でペアローンを組んで共有名義にしたとしても、親がすでに定年退職しており年金生活を送っている場合、そもそも納めている所得税が少ないため、親の持分に割り当てられた控除枠が使い切れず無駄になってしまうのです。

子一人の単独名義であれば受けられたはずの減税メリットを、共有名義にすることで最大活用できなくなるケースは少なくありません。

デメリット⑤:将来の住み替えのハードルが上がる

親子の共有名義でローンを組んでいる場合、たとえ親がメインで払っていたとしても、子の信用情報には連帯債務者としてローン残債務の全額が負債としてカウントされます。

そのため、ライフスタイルの変化によって子が新しい家に住み替えたいと思っても、「すでに一軒分のローンを背負っている」とみなされ、審査で借入可能額を大幅に削られたり、そもそも融資を断られたりするリスクが高く、住み替えが困難になってしまうのです。

デメリット⑥:解消したくても多額の税金・費用がかかる

「共有名義が不便だから、やはり一人にまとめたい」と考え直しても、その解消には大きなコストが伴います。

親の持分を子に移すには、親から買い取る(売買)か、無償で譲り受ける(贈与)必要があります。

売買であれば親側に「譲渡所得税」がかかる可能性があり、贈与であれば子に「贈与税」が課されます。

さらに、不動産取得税や登録免許税、司法書士への報酬が発生するため、当初から単独名義にしていた場合に比べて、二重の出費を強いられることになります。

デメリット⑦:親子間の心理的トラブル(主導権争い)

不動産の名義を持つということは、法律上の「持ち主」であるという強い自覚を生みます。

親が持分を持っていることで、「自分も金を出した」という意識が消えず、子の世帯のプライバシーや生活スタイル、リフォームの内容にまで過度に干渉してくる例は珍しくありません。

名義という「権利」があることが、円満であるべき親子関係に上下関係や対立を持ち込み、結果として同居の継続が困難になるほどの心理的負担を子世帯に与えてしまうこともあるのです。

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親子共有名義で不動産を所有するメリットはある?

親子の共有名義で不動産を所有することは、デメリットばかりではありません。主に「購入時」に限定されますが、以下のようなメリットもあります。

  • 借入能力の向上
    親子の収入を合わせることで、一人では手が届かない好立地・広さの物件を購入できる。
  • 住宅ローン控除の重複
    親子双方が所得がありローンを返済している場合、それぞれが最大額まで控除を受けられる。
  • 相続税対策
    親の資金を不動産(持分)に変えておくことで、現金のまま持っているよりも相続時の評価額を下げられるケースがある。

とはいえ、これらはあくまでその時点の利点であり、前章でご紹介したようなデメリットを帳消しにするようなものではありません。

上記のようなメリットを最優先する事情がない限りは、なるべく共有名義は避けるのが無難といえます。

親子共有名義の不動産をめぐる相続トラブル回避策

共有名義のデメリットを踏まえ、これから親子の共有名義にする予定がある、あるいは既に共有名義になっているような場合、以下のようなトラブルの回避策が必要になります。

  1. 親に遺言書を作成してもらう
  2. 家族信託の活用を検討する
  3. 資金援助は「相続時精算課税制度」を正しく使う

回避策①:親に遺言書を作成してもらう

親の持分が相続で細分化し、権利関係が複雑になってしまうことを避けるためには、「家を共有している子のみに持分を相続させる」ことが最も重要です。

そのため、親の生前にその旨の遺言書を書いてもらうことは非常に有効な回避策といえます。

相続は原則として遺言書の内容にしたがって進むため、遺言書があれば兄弟間での遺産分割協議を行うことなくスムーズに家の名義を一本化できます。

回避策②:家族信託の活用を検討する

家族信託は、親が元気なうちに、不動産の「管理・処分権限」を子に託しておく制度です。

不動産の場合、親が「委託者」となり、信頼できる子どもなどの家族の1人(=この場合は家を共有している子)を「受託者」として財産の管理権限を移します。

この時点で、不動産そのものは受託者(家を共有している子)の単独名義となるので、その後はたとえ親が認知症になった後も問題なく不動産を売却できるのです。

ただし、家族信託を実行するには多くの専門知識が必要であり、弁護士や司法書士などに依頼する場合は数十万~100万円以上の費用がかかるケースもあるため、この点は注意しましょう。

回避策③:資金援助は「相続時精算課税制度」を正しく使う

親から家の購入資金の援助を受ける際、親との共有名義を避ける最も有効な手段が「相続時精算課税制度」の活用です。

この制度を利用することで、原則60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子・孫への贈与が、累計2,500万円までその場での贈与税が非課税になります。
そのため、親の援助を受けつつ贈与税なしで子だけの名義の家を購入することが可能となります。

贈与された金額は将来の相続時に親の遺産と合算して計算されますが、相続税の基礎控除の範囲内(3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数))であれば、最終的な税負担もゼロになります。

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親子の共有名義を解消する3つの方法

最後に、親子の共有名義を解消する方法として次の3つの手段をご紹介します。

  1. 不動産全体を売却する
  2. 自分の持分のみを売却する
  3. 親子どちらかの単独名義に変更する

解消方法①:不動産全体を売却する

親子で合意し、第三者に一括売却して現金で分ける最も公平な解決策です。

家の住み替えなどを決断できるのであれば、資産をきっちりと分割でき、各々の持分という将来の火種を完全に消すことができる手段といえます。

もともと親子の共有名義で購入した家であれば、相続の結果兄弟で共有名義になったケースと比べて合意に至りやすいこともメリットです。

ただし、ローンの残債務が売却価格を上回る「オーバーローン」の場合、その差額の現金補填が必要になる点には注意しましょう。

解消方法②:自分の持分のみを売却する

他の共有者(この場合は親子のいずれか)の同意を得ず、自分の持分だけを買取業者・あるいは仲介業者を通じた第三者に売却する方法です。

上で挙げた全体売却に比べて売却価格は下がるものの、手続きを業者に一任して不動産の共有状態から抜け出すことが可能です。

購入時と比べて親子の関係性が悪くなってしまっており、長期間にわたる話し合いをしたくない場合には非常に有効な手段といえます。

▼買取業者と仲介業者の違い

買取業者専門仲介業者
ビジネスモデル不動産業者自身が共有持分を売主から直接買い取る。共有持分の売主と買取を希望する買主(投資家など)を業者が仲介する。
メリット・売却までのスピードが早い。
・複雑な権利関係を抱える案件にも対応可能。
・買取業者より高額かつ好条件で売却できるケースが多い。
・他の共有者とトラブルになりにくい。
デメリット・売却金額が市場価格よりも安い傾向にある。
・売却後に他の共有者とのトラブルになる可能性がある。
・契約完了までに2~4週間ほどの期間が必要になることが多い。
・買取業者に比べて専門業者自体の数が少ない。

センチュリー21中央プロパティーが提供する無料査定サービスは、国家資格者である不動産鑑定士とAIによる「ダブル査定制度」を導入しており、他社よりも精度の高い査定結果を24時間以内にご提示可能です。

解消方法③:親子どちらかの単独名義に変更する

持分を一方に集約し、名義を一本化する方法です。

売買であれば、親が子の、あるいは子が親の持分を買い取る形になりますが、「みなし贈与」を避けるために適正価格での取引が必須です。

贈与の場合は贈与税が課されるケースが多いため、先述の「相続時精算課税制度」の活用を検討しましょう。

なお、住宅ローンが残っている場合、借主の金融機関に無断で名義変更を行うことでローンの一括返済を求められるリスクがあるため、単独名義への変更を検討する際は、事前に必ず金融機関に相談しましょう。

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まとめ

親子の共有名義で不動産を購入・所有することは、購入時のハードルを下げる一方で、将来の売却や相続において重い制約を伴います。

親が健在で判断能力があるうちに、遺言や家族信託、あるいは名義の一本化、場合によっては早期の売却を検討すべきです。

当社センチュリー21中央プロパティーは、共有持分専門の仲介業者として長らく多くの不動産売却のお手伝いをしてまいりました。

弁護士を含む相談は全て無料ですので、少しでも将来の懸念をお持ちの方は、ぜひお気軽にお声がけください。

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この記事の監修者
塩谷 昌則
塩谷 昌則弁護士

エルピス総合法律事務所 代表弁護士/宅地建物取引士
東京大学法学部を卒業後、20年以上にわたり不動産法務の最前線で活躍する不動産トラブル解決のスペシャリスト。東京弁護士会に所属し、弁護士資格に加え宅地建物取引士の資格も有することで、法律と不動産実務の両面から深い専門知識と豊富な経験を持つ。

著書に「事例でわかる 大家さん・不動産屋さんのための改正民法の実務Q&A」がある。メディア出演やセミナー登壇実績も多数。