マイホームという大きな買い物をした後に、病気や災害、収入減少などの予期せぬ事態に直面すると、真っ先に頭をよぎるのが住宅ローンの返済です。
「もしもの時、ローンが免除される仕組みはあるのだろうか?」といった心配も多いと思いますが、特定の条件を満たせば住宅ローンが「免除(完済)」される仕組みは現実に存在します。
本記事では、住宅ローンが免除される具体的なケースから、反対に「免除されないケース」の対処法まで、専門家が詳しく解説します。
目次
住宅ローンが免除(完済)になる2つのケース
住宅ローンが免除、つまり残高がゼロになるのは、主に以下の2つのケースです。
- 団体信用生命保険(団信)の適用
- 自然災害による特例制度
免除になるケース①:団体信用生命保険(団信)の適用
最も一般的な住宅ローン免除のケースが、「団体信用生命保険(団信)」の適用です。
団信は、やむを得ない事情により債務者が住宅ローンを支払えなくなった際、債務者に代わって保険会社が残債務を支払う仕組みの保険です。
団信が適用され、住宅ローンが免除になる主な条件は次の2つとなります。
- 死亡・高度障害による免除
- 特定疾病特約による免除
死亡・高度障害による免除
最も基本的な団信は、ローン契約者が以下の状態になった際に適用されます。
- 死亡:病気や事故による死亡。
- 高度障害状態:両眼の視力を完全に失う、自活した生活や歩行が生涯に渡ってできないなど、保険会社が定める「高度障害状態」に該当した場合。
この場合、保険会社から金融機関へ残債分の保険金が支払われ、家族に住宅ローンは残りません。
特定疾病特約による免除
近年主流となっているのが、死亡以外でも免除対象を広げた「特約付団信」です。
- がん保障特約:がんと診断された時点でローンが0円になるタイプが多い。
- 3大疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞):がんに加え、脳卒中や心筋梗塞で60日以上の所定の状態が続いた場合などに適用。
- その他疾病:高血圧、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変などが追加されるが、60日以上の就業不能状態などハードルが高い点に注意。
また、最近では金利に0.1%〜0.2%程度を上乗せすることで、がんと診断されただけで、その後の住宅ローンの支払いが一切不要(残高0円)になったり、支払い額が半分になったりする手厚いプランが人気です。
ただし、契約時に持病を隠していた場合や加入から90日程度の免責期間内の診断などには適用されないことが多いため、その点には注意しましょう。
免除になるケース②:自然災害による特例制度
住宅ローンが免除になるもう1つのケースが、自然災害による特例制度の適用です。
自然災害で家を失っても、住宅ローンの支払い義務は消えません。
しかし、日本弁護士連合会が中心となって策定・運用されている「自然災害債務整理ガイドライン」に適用する人は、住宅ローンの免除や減免を受けることができます。
具体的には、地震や台風など、災害救助法が適用された災害によってローンの返済が困難になった場合に適用される制度です。
ただし、災害以前に期限の利益喪失(ローン支払いの遅延によって分割払いをする権利が失われること)などがあった場合には、免除や減免にならない可能性があるため注意しましょう。
なお、通常は借金を免除してもらうと「事故情報」として記録され、数年間は新たなカード作成やローンが組めなくなりますが、この制度を利用すれば生活再建後の再度の借り入れも可能になります。
【重要】住宅ローンが免除にならない代表的なケース
ここからは、前章とは異なり住宅ローンの支払いが免除にならない3つの代表的なケースをご紹介します。
- 収入減少や失業(リストラ・勤務先の倒産など)
- 団信の支払い対象外となる病気・ケガ
- 離婚による住宅ローンの扱いパターン
免除にならないケース①:収入減少や失業
1つ目は、勤務先の業績悪化などによる収入の減少やリストラ等での失業により、住宅ローンを支払えなくなるケースです。
住宅ローンはあくまで金融機関と債務者との「契約」であり、個人の経済状況の悪化は免除の理由にならないためです。
先述の団信は「健康状態」の保険なので、会社が倒産した場合などには適用されません。
したがって、失業して無収入になっても、金融機関は法的に住宅ローンの支払いを求める権利を持ち続けます。
免除にならないケース②:団信の適用対象外となる病気・ケガ
2つ目は、前章でご紹介した団信の適用対象「以外」の病気や怪我で収入が減った、あるいは絶たれるケースです。
特に、近年患っている方も多いうつ病などの精神疾患は原則として対象外となるため留意しましょう。
また、団信の適用条件に合致した診断を受けても、働けない期間が短いなど免除の対象とならない場合もあります。
そのため、病気やケガにより収入が減少した際は、団信の適用条件に当てはまるかどうかを早急に確認することが大切です。
免除にならないケース③:離婚
離婚による生活環境や経済状況の変化も、住宅ローン免除の条件には当てはまりません。
例えば、夫が家を出て妻が住み続ける場合でも、債務者が夫であれば離婚後も返済義務は夫に残り続けます。
また、夫婦が互いの連帯保証人となるタイプのローンを組んでいた場合、何らかの事情でどちらかが支払えなくなった場合も、免除になることはなくもう1人に一括で請求が届きます。
住宅ローンが免除になった後の注意点
条件が適用され、住宅ローンがゼロになるのは喜ばしいことですが、後から予期せぬ負担が発生することがあります。
ここでは、住宅ローンが免除された後の注意点として、次の2点をご紹介します。
- 税金(一時所得)の発生リスク
- 連帯保証人・連帯債務者への影響
注意点①:税金(一時所得)の発生リスク
団信による完済は一般的に保険金の受け取りとなるため、税務上の死亡保険金(相続税対象)や非課税(高度障害・疾病)として処理され、所得税がかからないケースがほとんどです。
しかし、「債務免除益(銀行が借金を棒引きにしてくれた場合)」などは税務上は所得とみなされ、確定申告と納税が必要になる可能性があります。
制度を利用する際は、必ず税理士や管轄の税務署へ確認が必要です。
注意点②:連帯保証人・連帯債務者への影響
ペアローンや連帯債務の場合、「一人の免除が全体の免除ではない」点にも注意が必要です。
例えば、夫と妻で半分ずつローン(ペアローン)を組んでいたケースで夫が亡くなり、夫の分のローンが団信で免除されても、妻の分のローンはそのまま残ります。
あくまで「半分が完済された」状態になるだけで、生存している妻のローンまで免除されるわけではないのです。
こうした勘違いや思い込みで支払いが遅れた場合でも、遅延金の発生や支払い滞納の処理は容赦なく進んでいきますので、くれぐれも注意しましょう。
免除の条件に当てはまらない場合の3つの現実的な回避策
最後に、住宅ローン免除の条件に当てはまらないが、どうしても返済が苦しい場合の現実的な回避策として、次の3つの方法をご紹介します。
- 金融機関への「リスケジュール(返済計画の変更)」相談
- 住宅ローンの「借り換え」による月々の負担軽減
- 「任意売却」による残債の整理と住み替え
方法①:金融機関への「リスケジュール(返済計画の変更)」相談
真っ先に行うべきは、借入先の金融機関にリスケジュール(返済計画の変更)を相談することです。
金融機関側としても確実に債務を回収したいと考えているため、包み隠さず誠意を持って相談することで、以下のような変更を受け付けてくれる可能性があります。
▼リスケジュールの例
- 返済期間の延長:毎月の返済額を減らす。
- 元金据え置き:一定期間、利息のみの支払いにしてもらう。
ただし、リスケジュールはあくまで支払いに猶予をもたせることを目的としたものであり、残りのローンの総額を減らすものではありません。
また、リスケジュールを実行したという情報が残ることで、他の金融機関へのローンの借り換えができなくなる可能性もあります。
方法②:住宅ローンの「借り換え」による月々の負担軽減
現在よりも低金利のローンに乗り換えることで、総支払額を抑えられる場合があります。
特に、10年以上前に組んだローンの場合、現在の低金利メリットの恩恵を受けることができる可能性は高いでしょう。
ただし、その時点での収入や健康状態・過去の借り入れや返済の状況によっては借り換え事態が難しいことも多いため、確実視しすぎるのは危険です。
方法③:「任意売却」による残債の整理と住み替え
返済の目処が立たない場合、裁判所の手続きに基づく「競売(強制的な売却)」にかけられる前に、「任意売却」を検討することが有効な手段となります。
任意売却とは、ローンの返済が困難になった際に、金融機関(債権者)の合意を得て自らの意思で自宅を売却することです。
▼任意売却のメリット
- 競売よりもより高く売れる
市場価格に近い金額で家を売れる可能性が高く、競売よりもローンの残債務を圧縮できる。 - プライバシーが守られる
通常の不動産売却と同様に家を売却する形になるため、周囲に事情を知られにくい。 - 売却後に残ったローンは分割可能
売却後に残ったローン残債務を無理のない範囲で分割払いにする交渉が可能(競売の場合は原則的に一括請求)。 - 引越し時期や引越し費用の交渉可能
引越し時期や引越し費用について、金融機関や買主と交渉できる場合あり。
家を手放すことにはなりますが、任意売却は住宅ローンから解放され、新たな生活をスタートするための有効な選択肢といえます。
どうしても住宅ローンを支払いきれなくなった場合は、一日も早い決断が重要です。
まとめ
住宅ローンが免除されるケースは、原則として「団信の適用(死亡や高度障害状態・病気等)」「自然災害」の2つに限られます。
もし免除の条件に該当せず、今の返済が苦しいのであれば、滞納する前に専門家や金融機関へ相談することが生活を守るための最善策です。
特に、今後のローンの支払い目処がどうしても立たない場合は、できる限り早い段階での「任意売却」をおすすめします。
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