借地権を第三者に売却する場合、避けて通れないのが地主への「譲渡承諾料」の支払いです。
「いくら払えばいいのか?」「もし拒否されたら売れないのか?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産の専門家としての視点から、譲渡承諾料の相場や計算シミュレーション、さらには交渉のコツまで詳しく解説します。
目次
借地権の譲渡に必要な譲渡承諾料とは?
借地権を第三者に譲渡(売却や贈与)する際、民法第612条により「賃貸人(=地主)の承諾」が必要と定められています。
この承諾を得るための対価として、借地人が地主に支払う名目的な費用が「譲渡承諾料」です。
本来、借地権はあくまで「土地を借りる権利」であり、誰に貸すかは地主の自由です。
そのため、借地人が勝手に土地を借りる権利を譲渡することは許されず、承諾を得ずに譲渡した場合は借地契約を解除されるリスクがあります。
譲渡承諾料が不要なケースは?
以下のケースでは、原則として譲渡承諾料は発生しません。
- 相続による取得
親が亡くなり、法定相続人(子や配偶者)が借地権を相続する場合、譲渡ではなく「一般承継」となるため、地主の承諾も承諾料も不要。 - 地主への直接売却
借地人が地主に対して借地権を買い取ってもらう場合、第三者への譲渡ではないため承諾料という概念はなくなる。
譲渡承諾料の相場と計算シミュレーション
譲渡承諾料には法律で定められた一律の金額はありませんが、以下の通り実務上の「相場」が存在します。
承諾料の目安は「借地権価格の5%〜10%」
一般的に、譲渡承諾料は借地権価格(=更地価格に占める借地権の価値の割合)の5%〜10%程度が相場とされています。
以下の条件で、支払うべき承諾料を計算してみましょう。
▼【具体例】更地価格5,000万円・借地権割合70%の場合の計算
- 更地価格:5,000万円
- 借地権割合:70%
- 承諾料率:10%(相場の上限)
借地権価格:5,000万円×70% = 3,500万円
譲渡承諾料:3,500万円×10% = 350万円
このように、上記のケースでは350万円が地主に支払う承諾料の目安となります。
金額が変動する要因:立地条件や地主との関係性
相場の範囲内であっても、以下の要因によって金額が前後することがあります。
- 借地期間の残り
残存期間が短い場合、更新料とセットで調整されることがある。 - 地主との関係
良好な関係であれば5%程度に抑えられることもある一方で、過去に地代の滞納などがあれば高めに設定されるリスクも。
交渉をスムーズに進めるためには、いきなり「〇円でお願いします」と言うのではなく、「第三者へ適正な価格で譲渡したいので、慣習に基づいた承諾料をご相談させてほしい」と、あくまで地主の権利を尊重する姿勢を見せることが重要です。
借地権を第三者へ譲渡・売却するまでの4つのステップ
借地権を第三者へ譲渡・売却するまでの基本ステップは、大きく次の4つになります。
- 地主への事前相談と売却意向の確認
借地権の買主を見つける前に地主に売却の意向を伝える。
地主自身が借地権を買い取りたいという意向を持っている場合もあるため、事前の意思確認は必須。 - 不動産会社を通じた買主探し
借地権専門の買取業者、あるいは仲介業者に借地権の売却を依頼する。
買取業者の場合は業者自身が買主となるが、仲介業者の場合は借地権を買い取る意思のある投資会社等の第三者を仲介する形となる。 - 地主との譲渡承諾条件の交渉
買主の目処がついたら、あらためて地主と具体的な承諾料の金額や譲渡後の条件(地代の改定など)を交渉する。このやり取りも、上記のステップで依頼した不動産会社が行うことが一般的。 - 譲渡承諾書の締結と承諾料の支払い
交渉がまとまったら、後々のトラブルを防ぐために地主との間に「譲渡承諾書」を締結する。
承諾料の支払いは売買契約が締結され、借地権の所有権移転登記の前に行われることが一般的。
なお、借地権の売買は一般の不動産会社では対応できない場合があるため、公式サイトやSNS等をしっかりと確認し、借地権売買に実績のある業者を選ぶことが重要です。
借地権の売却・譲渡をトラブルなくスムーズに進めるポイント
地主によっては、第三者への借地権譲渡・売却を承諾してもらえないケースも珍しくありません。
そのため、以下で借地権の譲渡・売却をスムーズに進めるための3つのポイントをご紹介します。
- 地主との日頃のコミュニケーションを大切にする
- 借地権の取引実績が豊富な不動産会社をパートナーに選ぶ
- 地主自身への「借地権買い取り」を打診してみる
ポイント①:地主との日頃のコミュニケーションを大切にする
最も効果的な対策は、日頃からの信頼関係です。
地代の遅延がないことはもちろん、節目ごとの挨拶や普段から誠意あるやり取りを心がけるだけで、借地権売却の交渉の難易度は大きく下がります。
過剰にへりくだる必要は全くありませんが、地主とのコミュニケーションに基づく信頼関係が強固なほど交渉は進めやすくなることは間違いありませんし、またそのまま住み続ける場合にも快適に過ごすことができるでしょう。
ポイント②:借地権の取引実績が豊富な不動産会社をパートナーに選ぶ
先述の通り、借地権の売買は一般的な所有権の売買とは異なります。
地主との交渉経験や専門的な知見・スキルを持つ不動産業者に間に入ってもらうことで、感情的な対立を避け、法的に妥当なラインで着地させることができます。
なお、当社センチュリー21中央プロパティーは、社内に在籍する弁護士の圧倒的な交渉力で多くの借地権トラブルを解決に導いてまいりました。
相談は無料ですので、ぜひお気軽にご連絡ください。
ポイント③:地主自身への「借地権買い取り」を打診してみる
第三者ではなく、地主に借地権を買い取ってもらうことも手段の1つです。
この方法では譲渡承諾及び承諾料の支払いが不要となり、また第三者を挟まないため売買の話自体は非常にシンプルなものとなります。
ただし、地主に借地権を買い取る意思と予算があることが前提となるため、タイミングによっては話が成立しないことも多い点には注意しましょう。
地主に譲渡を拒否された場合の解決策「借地非訟手続き」
借地非訟は、「借地人が裁判所に対して地主の承諾に代わる許可を求める手続き」のことで、借地借家法第19条に基づく法的手段です。申し立ては、借地のある場所を管轄する地方裁判所に対して行います。
借地人からの申し立てが却下されることはほぼなく、裁判所は最終的に「代諾許可」(=地主に代わる借地権売却の許可)を出すことが大半です。
ただし、申し立てには登記簿謄本の他に公的な測量図や固定資産評価証明書など専門性の高い書類が多数必要になるうえ、数ヶ月~半年程度は複数回にわたって裁判所に足を運ばなければなりません。
また、代諾許可が出れば地主に対しては借地権価格の10%程度の承諾料を支払う必要もあります。
こうした労力や費用の問題に加え、借地非訟を申し立てることで地主との関係性には決定的な亀裂が入るため、借地非訟はあくまで最終手段として意識しておきましょう。
譲渡以外に承諾料が発生する可能性がある費用一覧
借地権の売却を進めるにあたって、状況によっては譲渡そのもの以外にも地主の承諾と費用が必要になる場合があります。
ここでは、売却に関連して発生しがちな承諾料のケースをご紹介します。
- 建替承諾料
買主が購入後に建物を解体して新築する場合に必要。借地権売却の条件に「建替可」を含める場合、この承諾料を売主と買主のどちらが負担するかを交渉する。 - 条件変更承諾料
「木造から鉄筋コンクリート造(RC造)へ」など、建物の構造(非堅固から堅固)を変える場合に発生。買主がより強固な建物を建てたい場合に必要となる費用。 - 転貸承諾料
買主が自ら住むのではなく、建物を第三者に賃貸(転貸)する目的で購入する場合、地主から転貸の承諾を得るための費用。 - 更新料
譲渡のタイミングがたまたま更新時期と重なる場合、譲渡承諾料と併せて請求されるのが通例。
このように、譲渡された側がその後どのように借地権付き建物を活用したいかによって異なるため、売却の手続きを進める際には事前にこの点を確認しておく必要があります。
まとめ
借地権の譲渡は、所有権の不動産売却とは異なり、地主との交渉や法律上のルールが複雑に絡み合います。
最後に、この記事で解説した重要なポイントを振り返りましょう。
- 譲渡承諾料の基本
第三者への売却には地主の承諾が必須であり、その対価として借地権価格の5%〜10%程度の承諾料を支払うのが一般的な慣習。 - 費用の変動要因
相場はあるものの、最終的な金額は立地やこれまでの地主との信頼関係に左右される。買主の意向によっては「建替承諾料」などが別途発生する可能性もあり。 - 地主に拒否されたら
万が一地主から承諾が得られない場合でも、「借地非訟」という法的な救済措置がある。ただしあくまで最終手段。 - スムーズな譲渡成立の鍵
強引な交渉は避け、まずは地主への誠実な相談から始める。その上で、借地権特有の複雑な手続きや計算に精通した専門の不動産会社をパートナーに選ぶ。
まずは現在の借地契約内容を確認し、信頼できる専門家へ相談することから始めてみることをおすすめします。
当社センチュリー21中央プロパティーは、長年に渡って借地権専門の不動産仲介会社として多くの案件を成立させてまいりました。
相談は無料ですので、ぜひお気軽にお声がけください。

