身寄りがない、あるいは親族全員が相続放棄をしたなどの理由で「空き家の相続人がいない」というケースが増えています。
誰も住む予定のない実家をそのまま放置していると、固定資産税の支払いや建物の管理責任といった重い負担がのしかかりかねません。
本記事では、相続人が不在となる具体的なケースや、発生し続けるリスク、そして最終的に手放すための手続きについて解説します。
目次
「相続人がいない空き家」に該当する主な5つのケース
「相続人がいない」といっても、その状況はさまざまです。
法的に相続権を持つ人が当初からいない場合もあれば、手続きの結果として不在になる場合もあります。
「相続人がいない空き家」に該当する主なケースは、以下の通りです。
- 戸籍上の法定相続人が1人もいない
- 相続人全員が相続放棄をした
- 相続人の行方が分からず連絡がつかない
- 相続欠格・廃除により権利を失った
- 特別縁故者はいるが遺言書がない
ケース①:戸籍上の法定相続人が1人もいない
被相続人(亡くなった人)が生涯独身で子供がおらず、両親や兄弟姉妹もすでに他界しているケースです。
また、代襲相続人となる甥や姪もいない場合、民法で定められた法定相続人が誰も存在しない状態となります。
少子高齢化が進む現在、こうした「おひとりさま」の相続問題は増加傾向にあります。
ケース②:相続人全員が相続放棄をした
法定相続人は存在するものの、被相続人に多額の借金があったり、空き家の管理が負担だったりして、全員が家庭裁判所で相続放棄を選択するケースです。
相続放棄をすると、その人は初めから相続人ではなかったとみなされます。
結果として、次の順位の相続人も含めて全員が放棄すれば、法的な相続人は不在となります。
ケース③:相続人の行方が分からず連絡がつかない
戸籍上は相続人がいるものの、長年音信不通で居場所が分からない、あるいは海外に移住していて連絡が取れないといった状況です。
この場合、厳密には「相続人不在」ではありませんが、遺産分割協議が進められず、事実上の「所有者不明土地」として空き家が放置される原因となります。
不在者財産管理人の選任など、別途法的な手続きが必要です。
ケース④:相続欠格・廃除により権利を失った
特定の事情により、法律上相続権を剥奪されたケースです。
相続欠格は、遺言書の偽造や被相続人への加害など、重大な非行があった場合に適用されます。
相続廃除は、被相続人への虐待や侮辱などを理由に、被相続人の意思で家庭裁判所に申し立てて権利を剥奪する制度です。
これにより相続資格を持つ人がいなくなる場合があります。
ケース⑤:特別縁故者はいるが遺言書がない
内縁の妻や、献身的に介護をしてきた息子の嫁など、被相続人と深い関わりがあった人を特別縁故者と呼びます。
しかし、彼らには法的な相続権がありません。
被相続人が遺言書を残していなければ、どれほど親密であっても財産を引き継ぐことはできず、結果として相続人不在の扱いとなります。
誰も住まない空き家の「固定資産税」と「管理責任」はどうなる?
相続人がいないからといって、その空き家に対する責任や金銭的な負担が自然に消滅するわけではありません。
放置を続けると、思わぬ不利益を被る可能性があります。
納税義務:相続人が不在でも固定資産税の請求は止まらない
空き家が存在する限り、毎年1月1日時点の所有者(または管理者)に対して固定資産税や都市計画税が課されます。
相続人が決まっていない間は、相続財産そのものが納税義務を負うことになりますが、実際には利害関係人などが一時的に立て替えるケースも少なくありません。
自治体からの納税通知書を無視し続けると、財産の差し押さえに発展する恐れもあります。
管理責任:相続放棄をしても次の管理者が決まるまでは免れない
「相続放棄をしたから、もう空き家のことは関係ない」と考えるのは早計です。
民法では、相続放棄をしたとしても、次の管理者が管理を始めるまでは、その財産の管理を継続しなければならない場合があります(管理責任)。
特に、ご自身が実家に住んでいたり、鍵を管理していたりする場合は注意が必要です。
管理不全により瓦が落下して通行人に怪我をさせた場合などは、損害賠償請求されるリスクも残ります。
放置リスク:管理不全で「特定空き家」になると税金が6倍になる
適切な管理がされず、倒壊の恐れや衛生上の問題がある状態を放置すると、自治体から特定空き家に指定される可能性があります。
指定されると、固定資産税の軽減措置(住宅用地の特例)が解除され、税額が最大で6倍に跳ね上がります。
さらに状況が悪化すれば、行政代執行による強制解体が行われ、その解体費用を請求されることになります。
相続人がいない空き家を整理・処分する具体的な流れ
相続人がいない空き家を最終的に手放すためには、以下の法的な手続きを経て、国庫(国)へ帰属させるのが一般的です。
- 利害関係人による相続財産清算人の選任申立て
- 官報公告による相続人・債権者の捜索
- 特別縁故者への財産分与または国庫への帰属
Step1.利害関係人による相続財産清算人の選任申立て
まずは家庭裁判所に対し、相続財産清算人の選任を申し立てます。
申立てができるのは、被相続人の債権者や特定遺贈を受けた受遺者、特別縁故者などの利害関係人、または検察官です。
相続財産清算人は、亡くなった人の財産を調査・管理し、借金の返済などを行った上で、残った財産を国に引き渡す役割を担います。
Step2.官報公告による相続人・債権者の捜索
清算人が選任されると、官報を通じて「相続人がいれば申し出てください」という公告がなされます。
同時に、債権者や受遺者に対しても申し出を求める手続きが進められます。
この期間中(通常6ヶ月以上)に新たな相続人が現れなければ、法的に「相続人はいない」ことが確定します。
Step3.特別縁故者への財産分与または国庫への帰属
相続人の不在が確定した後、特別縁故者からの申立てがあれば、家庭裁判所の判断により財産の一部または全部が分与されます。
それでもなお残った財産(空き家や土地など)は、最終的に国庫に帰属します。
ただし、不動産を国庫に引き取ってもらうには、更地にするなどの一定の条件や負担金が必要になる場合があります。
相続財産清算人の選任から国庫帰属を目指す際の3つの注意点
相続財産清算人の制度を利用すれば空き家問題は解決しますが、以下のようなデメリットも存在します。
- 相続財産清算人の選任には予納金が必要になる
- 国庫帰属には審査基準と負担金が発生する
- 手続き完了までに1年以上の期間を要する
注意点①:相続財産清算人の選任には予納金が必要になる
申立てを行う際、裁判所に予納金を納める必要があります。
これは清算人の報酬や経費に充てられるもので、被相続人の財産(預貯金など)で賄えない場合に申立人が負担します。
金額は事案によりますが、数十万円から100万円程度と高額になるケースが多く、これが大きな障壁となっています。
注意点②:国庫帰属には審査基準と負担金が発生する
必ずしもすべての不動産が国庫に引き取られるわけではありません。
管理コストがかかる土地や建物、境界が不明確な土地などは、国への帰属を拒否される可能性があります。
また、新制度である「相続土地国庫帰属制度」を利用する場合も、10年分の管理費用相当額の負担金を納める必要があります。
注意点③:手続き完了までに1年以上の期間を要する
相続財産清算人の選任から、公告期間を経て最終的に手続きが完了するまでには、早くても1年以上の時間がかかります。
その間、申立人が空き家の管理を続けなければならないケースもあり、精神的・時間的な負担は決して軽くありません。
手続きの複雑さから、自分一人で進めるのは困難であり、弁護士などの専門家のサポートが不可欠です。
管理責任や金銭的な負担を減らすための3つの対処法
相続人不在による空き家トラブルを避けるためには、問題が深刻化する前に、以下の対策を講じる重要があります。
- 遺言書を作成して受遺者を指定する
- 生前に不動産を売却して現金化する
- 弁護士連携のある専門不動産会社に依頼する
対処法①:遺言書を作成して受遺者を指定する
もしあなたが「自分の死後に空き家になる不動産」を持っているなら、元気なうちに遺言書を作成しましょう。
お世話になった人やNPO法人、自治体などを受遺者(財産を受け取る人)として指定しておくことで、相続人不在の状態を回避できます。
事前に寄付の受け入れが可能か相談しておくことも大切です。
対処法②:生前に不動産を売却して現金化する
不動産を所有したまま亡くなると、手続きが複雑になります。
生前のうちに空き家を売却し、現金化しておくのが最も確実な解決策です。
現金であれば、介護費用の支払いに充てることもできますし、死後の事務手続きもスムーズに進みます。
建物が古くても、土地として売却できる可能性があります。
対処法③:弁護士連携のある専門不動産会社に依頼する
すでに相続が発生しており、放棄や不在などの問題が起きている場合は、相続不動産に特化した専門会社へ相談してください。
通常の不動産会社では対応が難しい「訳あり物件」であっても、専門会社なら解決の糸口を持っています。
特に、センチュリー21中央プロパティーのように社内弁護士が常駐している体制であれば、相続財産清算人の選任手続きや複雑な権利関係の整理など、売却を前提とした高度な法務サポートを迅速に受けることが可能です。
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まとめ:相続人がいない空き家問題は早期の専門家相談で解決を
相続人がいない空き家を放置することは、年々重くなる固定資産税の負担に加え、倒壊や近隣トラブルに伴う管理責任という目に見えないリスクを抱え続けることを意味します。
相続財産清算人の選任や国庫帰属といった法的な救済制度も存在しますが、多額の予納金や膨大な時間的なコストを要するため、個人の力だけで解決へと漕ぎ着けるのは決して容易ではありません。
こうした複雑な状況において、相続不動産の売却とトラブル解決に特化し、累計4万件以上の豊富な実績を積み上げてきたのがセンチュリー21中央プロパティーです。
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「相続人がおらず、何から手を付ければいいか分からない」という不安を抱えている方も、まずは一度お気軽にご相談ください。
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相続不動産の売却に関してよくある質問
相続人がいない空き家の売却や処分に関してよくある質問と、その回答をいくつかご紹介します。
Q1.相続財産清算人の選任申し立ては誰ができますか?
A.利害関係人と検察官が申し立て可能です。
具体的には、被相続人の債権者(お金を貸していた人など)、特定遺贈を受けた受遺者、特別縁故者(内縁の妻など)が「利害関係人」に該当します。
空き家の近隣住民は、単に迷惑を被っているだけでは利害関係人と認められないケースが多いですが、被害を受けて損害賠償請求権を持つ場合などは認められる可能性があります。
Q2.相続人全員が放棄した実家の処分は不動産会社に依頼できますか?
A.相続財産清算人を選任した後であれば可能です。
相続人全員が放棄した状態では、勝手に売却することはできません。
まず家庭裁判所で相続財産清算人を選任し、その清算人が裁判所の許可を得た上で、不動産会社を通じて売却(任意売却や競売)を行う流れになります。
専門知識が必要なため、社内弁護士が常駐するセンチュリー21中央プロパティーのような専門会社への相談をおすすめします。

