遺産分割協議において、最もトラブルの火種となりやすい財産が不動産です。
現金や預貯金とは異なり、不動産には一物四価と呼ばれる複数の評価基準が存在するため、どの価格を採用するかで相続人同士の意見が対立しやすいからです。
公平な遺産分割を実現するためには、適切な評価方法を知り、全員が納得できる時価を算出することが欠かせません。
本記事では、遺産分割で揉めないための不動産評価のルールと、実勢価格を採用すべき理由についてわかりやすく解説します。
目次
遺産分割協議で不動産の評価方法が重要な理由
遺産分割協議において、不動産の評価方法が重要な理由配下の通りです。
- 現金のように価値が一律ではなくトラブルになりやすいため
- 評価額の基準次第で相続人の取得分に大きな差が出るため
- 相続税申告と遺産分割では採用すべき価額が異なるため
理由①:現金のように価値が一律ではなくトラブルになりやすいため
現金であれば「1,000万円は誰が見ても1,000万円」ですが、不動産の価値は見る角度によって変わります。
「売りに出したらいくらになるか」という視点もあれば、「固定資産税を計算するための基準額」という視点もあるからです。
特定の相続人が自分に都合の良い低い評価額を主張し、他の相続人が高い評価額を主張するといった対立構造が生まれやすく、話し合いが長期化する原因となります。
理由②:評価額の基準次第で相続人の取得分に大きな差が出るため
採用する評価基準によって、不動産の評価額には数百万円から数千万円もの差が生じることがあります。
例えば、実際に売れる価格(実勢価格)が5,000万円の土地でも、固定資産税評価額で見れば3,500万円程度になるケースは珍しくありません。
不動産を取得する相続人は安い評価額を望み、代償金を受け取る側の相続人は高い評価額を望むため、どの基準を採用するかで実際の取得分に大きな損得が発生してしまいます。
理由③:相続税申告と遺産分割では採用すべき価額が異なるため
多くの人が混同しやすい点ですが、税務署に提出する相続税申告と、相続人同士で財産を分ける遺産分割では、使うべき評価額のルールが異なります。
相続税の計算では国税庁が定める路線価などを用いるのが一般的ですが、遺産分割協議ではあくまでその時点での時価(実勢価格)を基準にするのが原則です。
税理士が作成した相続税申告書の評価額をそのまま遺産分割に流用してしまうと、本来の価値よりも低い金額で分割することになり、後々のトラブルを招きかねません。
なお、センチュリー21中央プロパティーには社内弁護士が常駐しており、法的な観点からの助言や契約書確認、売却後のトラブル対応まで完全無料でサポートが可能です。
司法書士や税理士等の専門家とも連携しているため、遺産分割協議から相続登記などの煩雑な手続きまで、一気通貫でお任せいただけます(※売却前提の場合に限ります)。
遺産分割における不動産評価額の4つの種類(一物四価)
不動産の価格には5つの指標があり、これらは一物四価と呼ばれています。
それぞれの目的や算出根拠、実勢価格との乖離(かいり)率を理解しておきましょう。
不動産評価額の4つの指標は、以下の通りです。
| 主な目的・用途 | 目安 (公示地価等との比率) | |
| ①実勢価格 (時価) | 実際の市場取引、遺産分割協議 | 100% (基準) |
| ②公示地価 | 一般的な土地取引の指標 | 90%〜100%程度 |
| ③相続税路線価 | 相続税・贈与税の算出 | 80%程度 |
| ④固定資産税評価額 | 固定資産税等の算出 | 70%程度 |
種類①:実勢価格(時価)
市場で実際に売買が成立すると想定される価格のことです。
需要と供給のバランスで変動するため、遺産分割において最も公平性が高い指標とされます。
近隣の取引事例や不動産会社の査定額を参考に算出します。
種類②:公示地価
国土交通省が毎年3月に公表する、標準的な土地の価格です。
「一般の土地取引の目安」とされていますが、地点が限定的であるため、すべての土地の評価にそのまま適用できるわけではありません。
都市計画区域内の標準地について鑑定評価をもとに決定されます。
種類③:相続税路線価
相続税や贈与税を計算するために国税庁が定める価格です。
道路に面した土地1平方メートルあたりの価額として毎年7月に公表されます。
一般的に公示地価の8割程度を目安に設定されており、実勢価格よりも低くなる傾向があります。
種類④:固定資産税評価額
固定資産税や都市計画税、登録免許税などを計算するための基準となる価格です。
市町村(東京23区は都)が決定し、3年に1度評価替えが行われます。
公示地価の7割程度を目安に設定されており、5つの指標の中で最も低くなるのが一般的です。
遺産分割では原則として「実勢価格(時価)」を採用すべき3つの理由
前述の通り複数の評価方法がありますが、遺産分割協議においては実勢価格(時価)を基準にするのが原則であり、最も推奨される方法です。
その理由は、主に以下の通りです。
- 公的価格は市場価格より2~3割安く設定されているため
- 代償分割時の不公平や損得を解消するため
- 実際の売却価格とかけ離れていると遺留分侵害のリスクがあるため
理由①:公的価格は市場価格より2~3割安く設定されているため
相続税路線価や固定資産税評価額は、税金を徴収するための基準であり、市場での取引価格よりも意図的に低く設定されています。
もし固定資産税評価額(時価の約7割)を基準に遺産分割を行うと、不動産を取得した相続人は実質的な価値よりも3割も安く財産を手に入れることになります。
これは他の相続人にとって大きな不利益となり、公平性を著しく欠く結果となります。
理由②:代償分割時の不公平や損得を解消するため
特定の相続人が不動産を取得し、他の相続人に代償金(現金)を支払う代償分割を行う場合、評価額の決定は死活問題です。
評価額が低すぎれば代償金を受け取る側が損をし、逆に高すぎれば不動産を取得する側が過大な現金を支払うことになります。
実際に市場で売却すれば得られるはずの金額(時価)をベースに計算することで、双方が納得感を持って合意形成を図ることが可能になります。
理由③:実際の売却価格とかけ離れていると遺留分侵害のリスクがあるため
遺産分割協議がいったん成立した後でも、評価額が不当に低かったことが発覚すれば、遺留分を侵害されたとして他の相続人から遺留分侵害額請求を受けるリスクがあります。
特に、協議後に不動産を売却し、想定以上の高値で売れた場合などはトラブルに発展しやすいケースです。
将来的な法的リスクを排除するためにも、当初から適正な実勢価格に基づいた分割を行うことが肝心です。
不動産の適正な評価額を調べる手順
不動産の適正な評価額を調べる手順は、以下の通りです。
- まずは固定資産税納税通知書やネット情報で相場を確認する
- 不動産会社の無料査定でより正確な「時価」を知る
- 話し合いがまとまらなければ不動産鑑定士に依頼する
Step1.まずは固定資産税納税通知書やネット情報で相場を確認する
手元にある「固定資産税納税通知書」を確認し、記載されている評価額を0.7で割り戻すことで、おおよその実勢価格を推計できます。
| 実勢価格の目安 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7 |
また、国土交通省の「土地総合情報システム」や不動産ポータルサイトで、近隣の売り出し価格や成約事例を調べるのも有効です。
まずはこれらで相場観を養いましょう。
Step2.不動産会社の無料査定でより正確な「時価」を知る
より実態に近い価格を知るためには、不動産会社の無料査定を利用するのが近道です。
不動産会社は、物件の個別事情(建物の状態、接道状況、土地の形状など)や最新の市場動向を加味して査定額を算出します。
1社だけでは偏りが出る可能性があるため、複数の会社に査定を依頼し、その平均値などを参考にすると客観性が高まります。
また、より信頼性の高い査定をご希望の場合は、センチュリー21中央プロパティーをご利用ください。
当社では、不動産鑑定士とAIによる「ダブル査定」を導入しており、24時間以内に客観的根拠に基づいた高額査定の提示が可能です。
Step3.話し合いがまとまらなければ不動産鑑定士に依頼する
不動産会社の査定額でも相続人同士の意見が食い違い、話し合いが膠着(こうちゃく)してしまった場合は、国家資格者である不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する方法があります。
鑑定評価書は裁判所や税務署に対しても強い証明力を持ちますが、数十万円程度の費用がかかる点がデメリットです。
費用対効果を考慮し、本当に必要な場合にのみ依頼を検討するとよいでしょう。
評価額が決まらない時は「換価分割」で売却・現金化すべき3つの理由
「評価額でどうしても折り合いがつかない」「公平に分けるのが難しい」という場合は、不動産を売却して現金化し、その現金を分ける換価分割が最適解となります。
その理由は、主に以下の通りです。
- 不動産を「時価」で売却して現金を分ければ公平性を保てるため
- 共有名義を回避することで将来の管理リスクやトラブルを防止できるため
- 借地権や底地などの評価が難しい不動産も専門会社なら現金化可能なため
理由①:不動産を「時価」で売却して現金を分ければ公平性を保てるため
換価分割の最大のメリットは、市場で実際に売れた金額(経費を引いた手取り額)を分けるため、評価額を巡る争いが一切なくなることです。
1円単位できっちりと法定相続分通りに分割できるため、誰かが損をしたり得をしたりといった不公平感が残りません。
「いくらで評価するか」という不毛な議論を省略し、結果としての現金を分けるというシンプルな解決策です。
理由②:共有名義を回避することで将来の管理リスクやトラブルを防止できるため
評価額が決まらないからといって、安易に不動産を共有名義にしてしまうのは最も避けるべき選択です。
共有状態のまま放置すると、将来的に売却や活用をする際に共有者全員の同意が必要となり、事実上の「塩漬け物件」になるリスクが高まります。
換価分割で現金化してしまえば、共有関係を解消でき、将来世代への負の遺産を残さずに済みます。
理由③:借地権や底地などの評価が難しい不動産も専門会社なら現金化可能なため
借地権や底地、再建築不可物件など、一般的な評価が難しい複雑な権利関係の不動産は、当事者だけで評価額を決めるのが極めて困難です。
こうした物件であっても、専門的なノウハウを持つ不動産会社であれば、適正価格で売却・現金化することが可能です。
センチュリー21中央プロパティーは、共有持分や借地権・底地などの相続不動産に特化した専門仲介会社です。
4万件以上にものぼる豊富なトラブル解決・売却実績を持ち、相続不動産の取り扱いノウハウにつきしましては、業界内でも随一の充実度を誇ります。
まとめ:公平な遺産分割を実現するために「実勢価格」を基準にしましょう
遺産分割における不動産評価では、トラブル回避のために実勢価格(時価)を基準にすることが原則です。
路線価や固定資産税評価額は市場価格より低く設定されているため、そのまま採用すると公平性を欠く原因となります。
もし評価額で揉めそうな場合や、正確な時価を知りたい場合は、専門家の力を借りるのが賢明です。
「センチュリー21中央プロパティー」は、相続不動産に特化した専門家集団です。
不動産鑑定士とAIによる「ダブル査定」を導入しており、24時間以内に客観的根拠に基づいた高額査定の提示が可能です。
さらに、仲介手数料や弁護士費用に加え、通常高額な相続登記や測量、残置物撤去等の諸費用も全て0円(売主負担なし)で対応しております。
評価額の算出から遺産分割協議、売却による現金化まで、経験豊富なスタッフが親身にサポートいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
遺産分割と不動産評価方法に関してよくある質問
最後に、遺産分割時の不動産評価に関してよくある質問と、その回答をいくつかご紹介します。
Q1.相続人全員が合意すれば、路線価や固定資産税評価額で分割しても問題ありませんか?
A.はい、相続人全員の合意があれば問題ありません。
遺産分割協議は「全員の合意」が最優先されるため、どのような評価額を採用しても法的には有効です。
ただし、実勢価格との差額が大きい場合、後になって「知らなかった」「損をした」という不満が出ないよう、全員がその価格差を理解した上で合意することが望ましいでしょう。
Q2.不動産会社の査定価格が会社ごとに異なる場合、評価額はどのように決めればいいですか?
A.複数社の査定額の平均値(中間値)を採用するのが一般的です。
各社の査定額にはばらつきが出るため、3社〜5社程度の査定を取り寄せ、その平均値を「合意価格」とするケースが多いです。
それでもまとまらない場合は、不動産鑑定士への依頼を検討するか、実際に売却して現金を分ける換価分割への切り替えをおすすめします。
Q3.古い家や借地権付き建物でも適正な評価や売却は可能ですか?
A.はい、相続不動産を専門とする不動産会社であれば可能です。
一般的な仲介会社では敬遠されがちな古い家や借地権・底地であっても、専門知識を持つ会社であれば適正な評価と売却が可能です。
当社のように、独自の投資家ネットワークやオークション制度を持つ会社を選ぶことで、市場価格での売却や早期現金化が期待できます。

