「仲の良かった兄弟だから大丈夫」「うちは大きな資産なんてないから」と思っていても、いざ遺産相続が始まると、不動産の分割や隠れた預貯金、介護の寄与分などを巡って話し合いが平行線をたどることは珍しくありません。
本記事では、上記のような相続時のトラブル解決の手段として、相続を弁護士に相談すべき具体的なケースや依頼するメリット、費用の目安から失敗しない弁護士の選び方まで徹底解説します。
不動産相続でお困りの方は、ぜひご参照ください。
目次
遺産相続で弁護士に相談すべき5つのケース
遺産相続において、以下の5つに該当する場合は当事者間での解決は困難であり、弁護士に依頼すべきケースといえます。
- 遺産分割を巡って相続人同士で揉めている
- 特定の相続人が遺産を独占・隠匿している疑いがある
- 不公平な内容の遺言書が見つかった(遺留分侵害額請求)
- 相続人の中に面識のない人や行方不明者がいる
- 不動産や非上場株式など、評価が難しい資産がある
ケース①遺産分割を巡って相続人同士で揉めている
最も多いケースは、さまざまな理由で相続人の間で意見が対立し、話し合いが成立しない状況です。
▼遺産分割で揉める代表的な理由の例
- 遺産の取り分を巡る兄弟間の争い
例:「自分は長男だから多くもらうのが当然だ」 - 過去の特別受益(住宅購入資金の援助など)への不満
例:「故人の生前に家の購入資金を援助してもらっている者の取り分は少なくするべきだ」 - 生前の介護負担に対する寄与分の主張
例:「故人が亡くなるまで面倒を見続けた自分が遺産を多く貰う権利がある」
こうした経緯で一度揉め事になると、当事者同士では「何が法的に正しいか」ではなく「相手を納得させたい」「言うことを聞きたくない」という感情的な争いに終始してしまいます。
そのため、互いの意見に同調することができず、解決の糸口が掴めないまま時間だけが経過してしまうのです。
ケース②特定の相続人が遺産を独占・隠匿している疑いがある
2つ目は、「故人の通帳を見せてくれない」「被相続人の生前に預金などが勝手に引き出されている形跡がある」など、相続人の一部が遺産を独占・隠匿しようとしているケースです。
しかし、同居親族が財産を管理している場合、こうした疑いがあっても他の相続人はその実態を正確に把握することはできません。
こうした状況に対し、弁護士であれば職権による調査(弁護士会照会など)を通じ、隠された財産を特定できる可能性があります。
ケース③不公平な内容の遺言書が見つかった(遺留分侵害額請求)
3つ目のケースは、「すべての財産を愛人に譲る」「特定の子供一人にすべてを相続させる」といった極端な遺言書がある場合です。
こうした内容の遺言書は遺留分※を侵害している場合が多いため、法定相続人(配偶者や子など)からは「到底受け入れられない」と反発が起こります。
※民法に基づき、財産相続において法定相続人が受け取れるとされる最低限の取り分
遺留分の受け取りを主張するには、「遺留分侵害額請求」という法的手段を実行する必要がありますが、相続を知ってから1年という期限があるため、弁護士に依頼して迅速な対応を取る必要があるのです。
ケース④相続人の中に面識のない人や行方不明者がいる
4つ目は、相続人の中に面識のない人(故人と前妻との間にいる子どもや故人が認知している子どもなど)や、行方不明者がいるケースです。
前妻との間の子や認知している子も法定相続人として扱われるため、遺産分割協議(遺産の取り分を決める協議)にはそのような子どもを含め全員が集まる必要があります。
行方不明者がいる場合は、裁判所を通じて「不在者財産管理人」を選任するなどの法的な手続きが不可欠です。
こうした特殊なケースでは、一刻も早く弁護士に依頼し、状況の整理と適切な遺産分割を行う必要があります。
ケース⑤不動産など評価が難しい資産がある
現金とは異なり、不動産は「誰がどの程度の割合で相続するか」という点を決めるのが困難な財産です。
そのため、実家を売却して現金化する(=換価分割)のか、1人が相続して他の相続人に代償金を払う(=代償分割)のかなど、相続人だけでは適切な分割方法が決めきれないことも珍しくありません。
こうした場合には、弁護士のような法律の専門家、あるいは不動産会社などの専門家に相談することをおすすめします。
遺産相続の際に弁護士に相談・依頼するメリット
弁護士に依頼することは、「法的手続きを代行してもらう」以上の4つの大きなメリットがあります。
- 法的な正当性の主張
- 交渉の代理:精神的ストレスの激減
- 書類作成・手続きの正確性
- 調停・審判への迅速な対応
メリット①法的な正当性の主張
弁護士は法律のプロフェッショナルです。
感情論ではなく、過去の判例や民法に基づいた「客観的な妥当性」から依頼者の主張を組み立てます。
これにより、自分1人では気づかなかった正当な取り分の確保や、相手方の不当な遺産の独占を防ぐことができます。
メリット②交渉の代理:精神的ストレスの激減
相続トラブルの最大の苦痛は、互いの主張や感情をぶつけ合うような身内との激しいやり取りです。
しかし、弁護士が窓口(代理人)となることで相手方と直接連絡を取る必要はなくなります。
電話やメール、あるいは直接顔を合わせての相続人同士の話し合いは心理的な負担が非常に大きいため、このようなやり取りから解放されるのは計り知れないメリットです。
メリット③書類作成・手続きの正確性
相続人同士が遺産の分割について話し合う「遺産分割協議書」は、内容に不備があると不動産の登記や銀行手続きができません。
しかし、弁護士が遺産分割協議書を作成することで、後々になって起こり得る「言った言わない」的なトラブルのリスクをゼロに近づけることができます。
メリット④調停・審判への迅速な対応
遺産分割協議が決裂した場合、家庭裁判所での「調停」や「審判」へ移行します。
しかし、最初から弁護士に依頼していれば裁判手続きへの移行もスムーズであり、一貫した戦略で臨むことが可能です。
これまでの相続人同士の関係性を鑑み、トラブルの予兆がある場合は早期から弁護士に依頼しておくのも有効な手段といえるでしょう。
遺産相続における弁護士・司法書士・税理士の役割の違い
遺産相続では、士業それぞれの役割を理解し、状況に応じて選ぶことが大切です。
▼遺産相続における士業の役割の違い
| 専門家 | 主な役割 | 紛争対応(交渉・裁判) | 不動産登記 | 相続税申告 |
| 弁護士 | 法律全般・交渉・裁判 | 可能(唯一の窓口) | 原則不可 | 不可 |
| 司法書士 | 不動産の名義変更(登記) | 不可(一部少額除く) | 専門領域 | 不可 |
| 税理士 | 相続税の計算・申告 | 不可 | 不可 | 専門領域 |
上記を参照し、「相続を原因とするトラブルや紛争解決は弁護士」「相続登記に伴う手続きは司法書士」「相続税の申告や節税は税理士」といったように、その役割に応じた士業に相談しましょう。
弁護士費用の相場は?
ここでは、弁護士に依頼する際の相場を以下の通りご紹介します。
| 項目 | 相場・目安 | 備考 |
| 法律相談料 | 30分 5,000円〜1万円程度 | 最近は「初回無料」の事務所も多い |
| 着手金 | 20万円〜50万円程度 | 案件の規模(経済的利益)に応じて変動 |
| 報酬金 | 獲得資産の4%〜16%程度 | 経済的利益(得られた金額)の割合で算出 |
| 実費 | 数千円〜数万円 | 切手代、戸籍謄本取得、交通費など |
なお、多くの弁護士事務所では、「相続できるはずの取り分」ではなく「実際に交渉で上乗せできた金額」や「確保した全額」など、報酬金の算出基準が異なります。
この点は契約前に必ず確認しておきましょう。
相続に強い弁護士を選ぶための3つのチェックポイント
弁護士にも得意・不得意があります。
特に「不動産が絡む相続」は、法知識だけでなく以下の3つのポイントを確認することが大切です。
- 相続分野の解決実績が豊富か
- 説明がわかりやすく、リスクも伝えてくれるか
- 他士業(税理士・司法書士)や不動産会社との連携があるか
ポイント①相続分野の解決実績が豊富か
遺産相続の際は、刑事事件や離婚問題を得意とする弁護士ではなく、「相続専門」「相続実績〇〇件」といった形で相続に関する実績を明記している事務所を選びましょう。
最新の判例や、遺留分の複雑な計算に慣れているかが特に重要です。
ポイント②説明がわかりやすく、リスクも伝えてくれるか
裁判を含む法的なトラブル解決の場では、コストや時間などの負担が予想以上に大きくなることも珍しくありません。
そのため、「裁判になると実際にはこれくらいの時間やお金がかかる」「この主張は通らない可能性がある」といった、依頼者にとって耳の痛いリスクを論理的に説明してくれる弁護士を選ぶことで、安心してトラブル解決を任せることできるでしょう。
ポイント③他士業(税理士・司法書士)や不動産会社との連携があるか
相続は、法律だけで完結しません。
「相続は解決したが、高額な相続税が発生してしまった」「不動産を分けることになったが、売却先が見つからない」など、法律以外の専門家の力が必要になることも多いものです。
したがって、他士業や不動産専門会社とワンストップで連携できる弁護士を選ぶことが、最終的な利益を最大化する近道といえます。
初回相談を無駄にしないための準備リスト
弁護士との面談は時間が限られています。
効率的に進めるために、以下の4点を用意しておきましょう。
- 家系図(相関図)
手書きで構いません。誰が亡くなり、誰が相続人なのかが一目でわかる図を作成しましょう。 - 遺産の一覧表
預貯金の残高、不動産の住所、有価証券、ローンなどの借金をリスト化します。不動産の場合は「固定資産税の納税通知書」があるとスムーズです。 - 遺言書の有無
ある場合はコピーを持参しましょう。自筆証書遺言の場合は、勝手に開封せず「検認」が必要な場合もあるため、状態を伝えてください。 - 時系列のメモ
「〇月〇日に誰が何を言ったか」「これまでどのような話し合いがされたか」を簡単にまとめておくと、弁護士が状況を即座に把握できます。
全て用意するのが難しい場合、可能なものだけでも用意しておくことをおすすめします。
まとめ
遺産相続を巡るトラブルは、放置すればするほど相続人同士の溝が深まり、解決までの時間とコストが増大します。
「まだ揉めていないから」と遠慮せず、少しでも不安を感じた段階で弁護士に相談することが早期・円満解決への最大のポイントといえるでしょう。
当社センチュリー21中央プロパティーでは、社内に在籍する相続に強い弁護士のサポートにより、不動産相続の遺産分割やトラブル解決を最後までお手伝い可能です。
「まずは今の状況を整理したい」というだけでも構いません。
お客様の抱える不安を、法的・不動産実務の両面から解消いたします。

